時間よ、止まれ。



その時




ピンクの振袖を着た、見慣れた女性の後ろ姿を見つけた。




彼女は、雪で霞みそうになっている中学の校舎を、感慨深げに眺めていた。






間違いない。




何年もさおりの姿を追い求めてきたこの俺が…



見間違えるわけ、ない。




俺はそっと、その美しい後ろ姿に声をかけた。




「…さおり?」




すると…、ゆっくりと呼ばれた女性が振り返った。




「優祐…」





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