鬼部長の素顔



「これ、取りに行ってた」
「せっかく俺が言おうと思ってたのに、まさか麻耶に先を越されるなんて思ってもみなかった」



そう言って、私の手を取り
手のひらにポンと四角い箱を置いた



「俺と結婚してくれる?」



……ほんと、
私ったら先走ってしまったかも



「麻耶?」


すぐ近くに聞こえた直斗の声
直斗は私を抱きしめてくれた



「……直斗ぉ…」



「ん?答えは知ってるけど、ちゃんと麻耶の口から聞きたいんだ」



嬉しくて……涙が止まらない



「私を……もらって、ください」


そう言い終わると
直斗の腕は緩み、麻耶?と呼ぶ


私が顔を上げれば
ちゅっ、と軽くキスをしてきた



「麻耶、愛してる」



そう言って、またキスを落とした。
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