ゆきいろねいろ
この国は、ずいぶんと賑やかで、平和だ。

陽の光が暖かくなる昼間。
一番人が出てくるこの時間は、何もせず街を歩くだけでも、ずいぶんと楽しい気分に浸れる。
城下のこの広い街には、たくさんの店が並んでいて、どれも魅力的なものばかりだ。

綺麗な女性がミシンを打つ衣服屋。
大柄だが優しそうな男が花束をつくる花屋。
優しそうな老夫婦がクッキーをおまけしてくれるベーカリー。
陽の光を浴びてきらきらと宝石が並ぶあの店は、最近新しく出来たアクセサリーショップだ。

「コーヒー、おかわりどうっすか?」
「ん?ああ、いただこうかな。あと…」
「いつものやつっすよね」
「はは、うん。その通り」

まあ、今いるこの喫茶店は、そんな魅力的な店の中でも、一番気に入っているのだが。

「あ、僕も僕も!いちごケーキおかわり!」
「あはは!二人ともあいかわらずっすねー。ちょっと待っててくださいね!」

伝票に書込みながら、早足で厨房に向かう背中を見送り、前に座っている彼に視線を戻す。

「みんな遅いねー。せっかく久しぶりに集まる日なのにい」
「俺達以外は皆遠いとこに住んでるんだから仕方ないよ、ソウヤ」
「おお、なるほどお!」

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