思いがけずロマンチック
11. 王子様と一緒

ここが片付いたら事務所に戻って、これからのことをゆっくりと話したい。


有田さんの目指すものが目標ではなく現実になったけれど、単純に社名が変わったというだけではない。これから変わっていくことに一から向き合って、解決していかなければ。


片付けをしながらずっと考えていた。
一難去ってまた一難。とは思いたくないけれど、どうしても不安は拭えない。


私は有田さんの力になれるのだろうか。


「有田さん、荷物まとめましたけどタクシー呼びましょうか」

「ありがとう、車を停めてあるんだ、ここで少し待っててくれ」


まとまった荷物と私をロビーに残して、有田さんは駐車場へと軽やかに駆けていく。そんなに走らなくてもいいのに。でも、風を受けて揺れる有田さんの髪がとても心地良さそう。
私の不安なんて消し去ってくれるように思えてくる。


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