思いがけずロマンチック
「あんな企画では報酬はもらう訳にはいかない、たとえ初めてのクライアントとはいえ中途半端な仕事は許されないからな」
つんとして無愛想な言葉を並べたてるのは想定内。有田さんは目も合わせようとせずに、コーヒーを口へと運んだ。
「すみませんでした。今度、笠間さんに新しい企画書を持って行く時も一緒に来て頂けませんか?」
「わかった、来週だったな、但し次は一緒に行くだけだからな、説明はできるように準備しておけ、自分の客なんだからな」
「はい、ありがとうございます」
にっこりと笑顔で答えてみたけれど、残念ながら空振り。有田さんはそっぽを向いてしまっていた。
何を話そうかと考えているうちに、有田さんはまたコーヒーを口へと運ぶ。そのまま一気に飲み干してしまわないかとひやひやする。
「有田さんは、あちらの会社ではどんな仕事をされていたんですか?」
あちらの会社とは『ルーチェ・クリエイト』のこと。潰れた会社を再建するために経営責任者としてやってきたのなら、あちらの会社でもそれなりの役職だったに違いない。まだ若いのに実績を上げて認められている人だろう。