【完】ぎゅっとしててね?
花火、始まった。
夜空に広がる二尺玉。


「あたし、花火の音好きなんだよね。近ければ近いほど好き」


「俺も。花火みるのと音聞くのどっちか片方選ぶなら音選ぶなぁ」


「へんなのー。でもわかる」



ドコドコと体に響くの、気持ちいいもんね。


慶太くんといると、共通点多いなぁって、よくおもうんだけど。



「……慶太くんってあたしに話合わせてる?」


コレ、前からの疑問。


「いや。芙祐ちゃんこそ……って芙祐ちゃんが人に合わせるなんてしないか」


「どーゆーいみ」


ほっぺ膨らましたらつつかれた。
……まぁ確かにあたしは人に合わせたりはしないけど。



「前もいったじゃん。芙祐ちゃんと俺似てると思うよ」



ぱらぱらと花火が散った。
それを眺める慶太くんをちらり横目で観察中。



……ちゃらい。のかな……?



「なーに見つめてんの?芙祐ちゃん」


「あ。ばれてた」


「ばれるでしょ。もしかしてそこからだと花火見えない?」


ぐいっと顔を寄せた。
あたしの目線に近づき、空を見つめる彼の横顔。
……香水の匂い。近い。



「なんだ。ちゃんと見えるじゃん」


至近距離。
目が合った。


パって目、そらしちゃった。
意味は特にないと思う。


そんなあたしを見て、慶太くん、今クスって笑ったでしょ。
……負けた気分。



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