【完】ぎゅっとしててね?
2限からは、芙祐も授業に戻った。
今のところ会話なし。



「残り時間は自習で」



自習大好きだよな。
数学の森先生。



いつもなら後ろの席から、ペンでつつかれる頃。
「ねぇねぇ」って。芙祐が天真爛漫に話しかけてくるんだけど。
その気配が全くない。



「……そんな気まずい?」



もう、俺から話しかけたわ。



「気まずく。ないことはないよね」


そーっと俺から視線を外す。



「露骨に態度変えんな」


「誰のせいだと思ってるの」


「お前のせいだろ」


「……」



あ。黙った。



誰が好きなやつと気まずくなりたくて告るんだよ、馬鹿か。


2回もわざわざ振られてまで、芙祐に好きって言いたくなったのは……



俺がそこまで冷静さを失ったのは、全部お前のせいだから。





「でも今まで通りってわけにはいかないよ、やっぱ」



”慶太くん嫌だと思うし”って。そう言葉をつづけた。



今までの芙祐はこんな風に付き合ってなかった。
テキトーに、付き合って別れてを繰り返してた。



認めたくないけど。
あいつと付き合ってる芙祐が本気だっていうのが見ててわかる。


桜木慶太だけがなんで特別なのか全然分かんないけど、




「あたし慶太くんのこと幸せにしたいもん」



はっきり俺の目をみて言い放った。この悪魔が。



いつだっけ。桜木慶太が言ってたよな。
”くだらない駆け引きならやめて”って。



あれってフリだろ?
今しようか。なんとなく。


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