【完】ぎゅっとしててね?
ぎゅっとスマホを握った。
F-Kの文字をナデナデして。



英文科の教室についたら、
すぐに目に入っちゃう慶太くんのこと呼ぶの。



「芙祐ちゃん来てくれたんだ。ちょっと待ってね」



あたしが名前を呼んだだけで、いつもの目をしてくれる。
あたしのこと大好きでいてくれてる、大好きな目。




「じゃあ俺帰るね。ノートは机の上に置いといてくれればいいから」



何よりあたしを優先してくれて




「どうした芙祐ちゃん?」


なんかあった?って。
すぐ気づくよね。いっつも。



「なにもないよ」



そういうあたしのこと
「そう?ならいいけど」って。
本当は見透かしてるんだろうけど踏み込まない。



……今までの誰よりも胸張って言える。



あたしが慶太くんのこと想うのと同じくらい
慶太くんはあたしのことが好き。




「かえろっか」



差し出された手のひら。
ぎゅうっと繋いだ。




……離さないし、
離すもんか。




ふぅって、深呼吸一回、
坂木弥生を頭の中から追い払う。





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