不器用な恋

モデルな彼等



放課後。

私は写真部の部室の前にいる。

遡ること1時間前。


------..--


「山田瑠樹さんですか?」

と、廊下を歩いているといきなり声がかけられた。

「はい……?」

「私は3年の秋元莉央です。お願いがあるの」

そう言うと、私の腕を引っ張って隅っこの方につれていかれる。

「あの……」

「私ね、写真部なの。私達、最後だからもしよかったらね、モデルになって欲しいの」

そう頭を下げられた。

「あの、でも私……

モデルになれるかどうか……」

断るつもりだ。

もちろん、目立ちたくもないし

写真に収まる気もない。

「大丈夫!山田さん美人だからそこは問題ないの!お願い!」

断るつもりだ。

いや、断るつもりだった。

だけど、先輩に頭を下げられてるから

「わ、私でよければ……」

なんて言ってしまったのだ。

先輩はにこってして

「放課後部室で待ってる」

そう言い残し、去っていった。

笑えもしない、私なんかでいいのか。

不安がよぎる。

でも、一度承諾してしまったのだから

行くしかない。

そう思い今に至る。

コンコン

「2年の山田で、す」

そういい扉を開けると

そこにはさっきの先輩とあと、三人見知らぬ顔がいた。

< 9 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop