強引なカレの甘い束縛



「ねえ、披露宴にウェディングドレスで入場で良かったの? 陽太は色打掛を私に着て欲しかったんでしょ?」

「まあ、せっかくの機会だからとは思うけど、音羽グループ傘下の会社が作るウェディングドレスをたくさん着てほしいと頼まれたら断れないしな」

「ごめんね。忍さんが以前、初めて仕事を任された思い入れのある会社らしいから、そこの社長さんに頼まれたら断れなかったんだって」

「それも聞いた。忍さんも申し訳なさそうにしてたけど、七瀬に似合うドレスばかりを用意するからって自信満々だったし……その言葉に嘘はなかったな」

「そ、そうかな……」

椅子に浅く腰かけ、ドレスの皺を気にしながら照れる七瀬の顔が、あっという間に赤くなる。

ドレスの華やかさに負けないように普段より丁寧にほどこされた化粧は白無垢のときよりも艶やかだ。

両手を頬に当てて恥ずかしげに俯く七瀬の姿に喜びが溢れてくる。

七瀬の膝に手を置き、すすっと指先を這わせば、ぴくりと体が跳ねるのを感じた。

「色打掛姿の七瀬は前撮りでちゃんと残したから悔いはない。音羽家御用達の写真館の腕前が冴え渡った素晴らしい仕上がりだったよな」

「う、うん……。ほんとの私よりもかなり綺麗に撮ってくれてびっくりしたけど。陽太の袴姿もかなり決まってたよね。眼福でした」

ふふっと小さく笑う七瀬に気持ちはわしづかみにされ、ここが新郎新婦の控室でなければ今すぐ押し倒すのに……というのは、七割本気。

残りの三割で自制するのが大人の男ってものだ。

「色打掛も白無垢も、このウェディングドレスも七瀬によく似合ってる」

相変わらず恥ずかしがっている七瀬に顔を寄せ、軽く唇を合わせた。

「あ、口紅がついちゃう」

七瀬が慌てて唇を離し俺の唇を人差し指で拭ってくれる。

そんな姿もかわいい。ようやく手に入れた俺の嫁さん。最高だ。


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