強引なカレの甘い束縛


「バーベキューでお肉をあれだけ食べたのに、がっつり食べたいの?」

「今日は食べるっていうより、大原部長に七瀬を紹介するっていうか……だから緊張もしていたし」

陽太は身体をほぐすように肩を上下させ、ホッとしたように息を吐いた。

「……さっきも言ったけど、やっぱり七瀬は鈍いよな。っていうよりも、周囲のことにもう少し興味を持て。大原部長の家のバーベキューの意味。しっかりたっぷり教えてやるからさっさと買い物済ませて帰るぞ。あ、食器洗いの洗剤が切れかけてるからそれも買って帰るか」

「あ、オレンジの香りがいい」

「わかってる」

ワインを加えたカートを押しながら、陽太は再び歩き出す。

相変わらず私の手を掴んだままだ。

その居心地の良さに抵抗することもなく、私も変わらず黙ってついて歩く。




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