ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「平川さんは、先日が初の社員食堂だと言ってたね。
今までは、どこで食べてたの?」

梶浦社長は、私のちょっとつぶやいたことを覚えていて、ふと思い出して尋ねてくる。

「よく中庭で食べてましたよ」

「ほう。中庭か…」

「はい。常緑樹が青々と繁って、ときどき小鳥のさえずりが聞こえるんです。

花壇のお花もいつも綺麗だし、素敵な所ですよ?」

つい、中庭の素晴らしさを熱く語る。

じゃあ、明日は中庭で食べようか。

「では、お弁当の手配をしておきます」

「平川さんのお弁当が食べたいな」

と、とんでもない!まだ気を許したわけじゃないわ。

「いつも前の晩の残り物を持ってきてるだけなんですよ?」

「そうか…」

なんかシュンとしてるな…社長。
あー面倒くさい。

「そのうち…時間に余裕が出来たら、お弁当を作ってきます。取りあえず、明日はお弁当屋さんにお任せしましょうね?」

社交辞令で言ってみる。

「楽しみにしてるよ」

はあぁぁ…

心の中で溜息をつく。
このところ、社長と一緒に昼食をとることが増え、矢神さんに会えずにいる。

はあぁぁ…

どうして、休憩時間まで社長に付き合わなくてはいけないんだろうか、

はあぁぁ…



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