ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】

この女を知っている

*矢神side*

仕事が休みの土曜日。三光堂で新書を購入し、コーヒーチェーン店に入る。

ちょうど、窓際のカウンター席が空いていたので、カップを乗せたトレーをテーブルに置く。

スツール一つ分離れた席に、艶やかな黒髪の綺麗な女が本を読んで座っている。

白く透き通るような肌、少しうつむき手元の本に視線を落としている。


(あれ?この女…誰だ?どこかで会ってないか?)


俺は人の顔を覚えるのが得意だ。

一度会ったことのある人間は忘れない。

なのに、この女が誰だったか思い出せない。

女の細く長い指先に視線を落とす。

短く綺麗に切りそろえられた爪…


(誰だ?…)






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