君を選んだから
どんなに思っても届かない

*・゜゚・* side 郁海 *・゜゚・*


side 郁海
< どんなに思っても届かない >



昨日、向井くんにあいつと付き合ってたって言われた後、咄嗟に出て来た言葉に自分でもちょっと驚いた。

あれは早く話を逸らしたかったから?

何故かカチンと来たから?


よくわからないけど、一瞬、そんなような感情が働いた。

そして、気付けば「好きな人がいるんだよね」なんて、確認するかのようにあいつに凄んでた。


向井くんがあいつに好意を抱いているのは見てればわかるし、それを邪魔しようとは思ってない..........はずだ、多分。

だけど、あの場で二人をくっつけようとか、盛り立てようとか、不思議とそういう方向には気持ちが向かなかった。


もしかして、俺には向井くんを応援する気がないのかな?

って言うか、俺はあいつにどうあってほしいんだ?

「好きな人」と幸せになるなら、素直に祝福できるのか?


その前に、ニセ彼女の役割を頼んでいるとは言え、あいつは俺のものじゃない。

なのに、しゃしゃり出て行って、俺がとやかく言う権利はないだろう。


あいつといると安心するし、何でも許してもらえるような気がして、ついつい甘えてしまうのも事実だ。

そんな居心地の良い相手を盗られるみたいな気がして、実は怯えてるとか?


いや、いや、いくら何でもそれはワガママだろう。

あいつには幸せになってほしい。

その点、向井くんなら心配ないのに、このモヤモヤはどうしてだ?


あぁ、もうわかんねーよ。

何だか変な気分。

今日はテンション上がんねーな..........

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