夢恋・second~その瞳に囚われて~

黒田社長がそう言った瞬間、由衣さんが口を挟んだ。

「父は許します。そんな父だから、会社をあそこまでにしたんです。話してください。私もあなたの味方をします。慶太さんのお父さんだから」

彼女を見て、黒田社長は一瞬驚いた顔になったが、やがて微笑んだ。

「さすが、俺の息子が惚れただけのことはある。……反対しても、無駄なようだな。星野によく似ているよ。あいつは昔から、正義感の強いやつだった。腹が立つほどにな」

「由衣は母さんにも似てるよ。父さんが、本気で好きになり、親の反対を押し切って結婚した母さんにね。やっぱり俺も、どこか父さんに似ているんだろうな。同じことをしてるから」

黒田さんの話を聞いて、黒田社長の目から涙が一筋こぼれた。

私は三人の様子をただ黙って見つめていた。
そんな私に黒田さんが向き直る。

「芹香ちゃん。君はもう、我慢する必要はない。拓哉くんに、正直に気持ちを伝えても、誰も君を責めないよ。父さんのことは俺と由衣に任せて。行きなよ。君が望む場所へとね」

慶太さんに言われ微かに頷くと、私は静かに出口へと向かった。ドアの前まで行くと、秘書の植田さんがドアを開いてくれる。彼に会釈をすると、初めて微かに笑ってくれた。

彼も、夕暮れに光る星の横で、姿を見せない輝きを持っていた。
私も堂々と輝きたい。
あなたの隣で、いつまでもずっと。

そう思いながら、夕暮れから夜に変わろうとしている街へと出た。



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