夢恋・second~その瞳に囚われて~

君ならきっと、分かってくれると思い上がっていた。
あのときの俺に、他になす術などなかったことを。

「主任、トレーラーの庸車をワイドエクスプレスに依頼しました」

「え。あ、ああ。…ありがとう」

ふと彼女を見る。
無表情でパソコンを見つめるその顔は、確かにあの頃の芹香と変わらない。

君が誰かのものになっているなどとは考えてもいなかった。

知っていたならば、ここまで君を追いかけてなど来なかったのに。
切なさと嫉妬で心を痛めることもなかった。

ねえ、芹香。
もう、俺に笑うことはないのか?
俺は再び思い上がって、ひとりでから回るのか。

「星野主任。内線十一番、お電話です」

背後から言われ、軽く小さなため息を吐くと、彼女から目を離し、俺は受話器を手にした。

「はい。企画課の星野です」

君の笑顔を曇らせた過去のある俺などにもう、芹香は振り向いてくれるはずなどない。
冷静になって、少し考えたならば、初めから分かることだったのに。

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