強気なあの子の恋模様
本性バレちゃいました!
毒舌家とよく言われる。私に言わせれば、自分の意見が言えなかったり、人に配慮ができないということが耐えられないだけなのに。

最近、由樹と速水くんが付き合い始めた。由樹の話を聞いてる身としては、嬉しいけど、由樹が親元を離れていくような寂しさがある。

ということで、私は彼氏でも作ろうと合コンに絶賛参加中である。
なにせ、暇だ。たとえ彼氏ができなくても、暇つぶしになれば良いかなって思ってるし。

「〇〇大学2年の…」
あー、自己紹介とかだるい。人の名前とか興味ないし、それに、大学名って言う必要あるか?
今日は中高の友達に誘ってもらった合コンで男子たちはいわゆるイケメンだ。しかも、有名大学。
みんなの目が爛々としている。
何かに飢えてるんだろうな…

「ちょっと、香菜子?」
げ、自分の番だったよ。
「えーっと、吉野香菜子です。」
「…」
なにこの待ちの時間?
「え、え、それだけ?香菜子ー!」
よしこちゃんに言われる。中高の時、クラスは違ったけど、仲よかったんだよね。
「あ、うん。おいおい話していくうちにってことで良いかな?」
細々と喋る。
めんどくせぇ。かったる。

「かなちゃんたら。」
「まー、じゃあ行きまっか…」
どこに行くんだよ。乾杯の音頭とか古いやんけ。
「かんぱーい!」
十代(かなりギリギリだが)特有ののりについてけねぇ。
朝シャンドゥーダゴクミトアレジがツインビーとかの方がいいわ。でもこれ、バブルで流行ったらしいが、一切意味がわからない。なにせ生まれてないからね。ただごろがいいんだな。

「香菜子ちゃんの趣味は?」
ここで空手とバスケの試合を見ることですっと素直に答えた時のことを考える。
なんかダメそう。
「料理とかヨガとかしてます」
「女子だねぇ。」
どこをどう考えて、女子なんだよ。
料理は趣味じゃなく、義務だ。
そして、ヨガは3ヶ月前までハマっていたので、嘘はついていないし。

誰だっけ、この人。津田、津村?つ、から始まる気がするって、あ、田辺だ。
「田辺さんは週末とかなにしてますー?」
ちゃんと言葉遣い気をつけたし。
どやさ。心でドヤ顔。
「てか、田辺さんじゃなくて、亮太って呼んでよ。」
見も知らずの人を名前で呼べと?
無理に決まっとるやろ。ま、めんどくせぇこやつの注文に従ってしんぜよう。
「亮太くん?」
「うん、いーねー、香菜子ちゃんありがと!」
爽やか系男子だとこやつは自分でわかっているのだな。そして、こやつはイケメンなのもわかっているのだな。
ナルシストとは違うめんどくさいパターンやな。
席替えはよしよ。
ちらっとよしこちゃんを見る。
ヘルプミー。ヘルプミー。
伝われ、念を!
「…って感じなんだけど、今週末いかない?」
うわ、こやつ、まだ話してたの?
しかもなんか誘われたよ。
聞いてなかったとは言えねぇ。

「あ、今週末はレポートに追われてまして…」
本当は寝るという用事があるんだ。

「じゃあ、席替えターイム!」
お、よしこちゃんにウインクされた。気づいてくれた。神ー!
「え、そっか…ま、今度行こうよ。」
てかどこに?わからんのやけど。
「はい!」
笑顔でお返事、香菜子さんっと!
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