フラワーガーデン【アリシア編】

第12節 婚約の夜

エドと踊り、先生と踊り、それから申し込まれる数多くの男性と踊り、パーティーは無事終わる。

私とエドは、数々の祝福の声に包まれながら来賓客を微笑み見送った。

私はエドにお休みの挨拶をすると、重い足を引き摺るように部屋へ戻ろうとした。

「部屋まで送りますよ」

背後からエドが私を抱き上げ微笑む。

「お、下ろして!一人で歩けるわ!」

エドの胸を叩く私を抱き上げたまま、エドは部屋の扉を開ける。
私は体を強張らせながら、彼の腕の中でもがき続けた。

エドは、ふわりと私をベッドに下ろすと私の頬を撫で、そして、燕尾服を脱ぎながら、私のおでこにキスをする。

歯がガチガチと鳴り、震えている私を優しく包み込むように抱きしめる。

でも、それだけ。

温かい……。

まるで父さんに抱きしめられているみたいで


すごくほっとする。


「エド。私、あなたのこと決して嫌いじゃないわ」

「アリシア……」

「だけど、ダメ。愛せない」


エドは私の頬を撫でながら、苦しそうに眉を顰める。


そして、私を抱きしめる腕に力をこめると、「どうしても?」と尋ね返す。


小さく頷き、彼を拒絶する私に彼は重い口調で質問を重ねた。


「で?ジョージとは寝ましたか?」


突然の彼の質問にベッドから飛び起きる。



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