フラワーガーデン【アリシア編】

第13節 新しい明日

エドの車の翳を見送り、玄関の扉のノブに手を掛けたその時、今度はバイクの音が門の方からした。
振り向くと、彼らとは入れ違いにフジエダ先生のバイクが入ってくるところだった。

「先生！」

大喜びで階段を駆け下りると、先生はバイクに跨ったままヘルメットを取る。

「おはようございます。今から部屋に伺いますから、テキストの用意をして待っていて下さい」

TシャツにＧパンにスニーカーと言ったラフな格好をした先生は、髪を掻き揚げるとリュックの中から黒縁眼鏡を取り出し、素早く掛ける。

「どうしました？」

キョトンとしている私を先生が訝し気に覗き込む。

何か、違う。
昨日とぜんっぜん違う！！

あっ！

「先生！昨日は眼鏡を掛けて無かったわ！なのに、どうしていつも掛けてるの！」

そう。
昨日、燕尾服を身に纏った先生は、洗練された感じだった。