フラワーガーデン【アリシア編】
「坊や、運転上手ねぇ~」

「一応、免許持ってますから。日本のですけど」

「あらあら~。こっちの坊や、のびちゃってるわ。あらぁ~?このコ、女の子じゃない!?」


アマンダは、後部座席で眠っているアリシアの胸をもみもみと触って、「やっぱり」と手を叩く。


「なっ、何するんだよ!」

「このコ、あんたの恋人?」

「違うよ。だけど、恋人以上に、大切な女の子……」

「へぇ~。それで手が出せないんだぁ」


アマンダの言葉を無視し、車から降りると後部座席のドアを開け、アリシアを抱きあげる。


「今日は助かりました。ありがとうございました」


一刻も早く宿を取り、アリシアを休ませた方がいい。

急いでリュックに手を伸ばす。


リュックまでもう少し、というところでアマンダの手が僕のリュックを掠め取る。


「うちに泊まってけばいいじゃな~い」

「そういう訳にはいかないです。返してくれませんか?それ」

「遠慮しないでぇ。こっちよぉ~」


羽が生えたように彼女はスキップしながら、店の扉に手を掛け、全開にする。


「み~んなぁ~!おっきゃくっさーーーん」


< 198 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop