フラワーガーデン【アリシア編】
このまま、いっそアリシアの腕を掴んで、ジョージに会わせること無く連れ去りたい。


……いや、だめだ。

僕は彼女に約束したんだ。

必ず、ジョージに会わせてあげると。

長い旅の道のりを、アリシアはただ……
ただひたすら、ジョージを想って必死に歩いて来たんだ。



はぁーはぁー……



興奮する息を鎮めようと、洗面台に両手を掛け強く握った。


頭を振り、目を開け、鏡の中の自分自身の瞳の中に強い決心を宿らせた。



ようやく、ここまで来たんだ。

アリシア……

何としてでも君とジョージを会わせてあげたい。

そして

そして……

僕は正々堂々と正面から僕はジョージと対峙したい。


鏡に伝う水滴を手で払うと、僕は彼女に会うため、この建物のエントランスに移動しようとトイレの扉を開けた。


その時、戸口で僕の行く手を阻む一人の男の翳が立ちはだかった。


男は壁に足を付くと、腕を組み、もう片方の壁に体を寄り掛からせ、行く手を阻みながら言った。


「妙なところでお会いしましたね、Mr.フジエダ。
ところで、私のフィアンセ殿はどこにいるんでしょうか?」





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