フラワーガーデン【アリシア編】
屋敷に戻ると、私とジョージはバトラーにしっかりお説教される。

誕生日を明日に控え、私の頬は赤々と腫れ上がってしまっていた。


「仕方ないですわね。明日はお化粧を厚く塗ってごまかさなくては……」


ノラは大きく溜息を吐くと、濡れタオルを用意してくれる。


「ね。ノラ……。明日の私の誕生日、キャンセル出来ないかしら……。
せめて、延期だけでも出来ない?」


「まぁ!それは無理でございます。
もう各界の著名な方々にご招待状をお出ししてしまいましたし……」


「そう……」


ジョージはノラから替えの濡れタオルを貰い、私の元に歩み寄ると、そっと私の頬に充て、囁く。


「アリシア。今夜、会いたい」


私は驚いて息を飲み、ノラやバトラーが聞いていないかドキドキしながら、忙しく動き回っている二人を見る。


ポケットに入っているジョージから貰った指輪を握り締めながら、私はコクンと頷く。


「じゃ、12時に。部屋で待ってて」


それだけ言い残すと、ジョージは振り返りもせず、足早に部屋から出て行った。




< 96 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop