君がいる毎日
pm 4:00
途中、コンビニに寄ってアイスを買い、唯月の部屋で食べることにした。
漫画の続きを読もうと思ったのだ。

唯月のうちには誰もいなかった。
私と唯月はアイスが溶けてしまわないように急ぎ足で唯月の部屋に入った。

「はいこれ、ふうちゃんの」

手渡されたアイスを受け取り、ラグにぺたりと座ったとき、テーブルの下にあるそれに気がついた。

「こんな雑誌、なんで読んでるの?」

ミカン味の棒付きアイスをかじりながら、雑誌を手に取る。
それはいわゆる結婚情報誌だった。
表紙には、頭にティアラを載せて、ウエディングドレスに身を包んだきれいなモデルさんが載っている。

『こんなプロポーズをされてみたい!』という特集ページを少し眺めてから唯月を見ると、唯月はドアのところに突っ立ったまま、「しまったぁ」とつぶやいた。

「なにが? ていうか、アイス食べないの?」

不思議に思って声をかける。

「食べる……けど」

「溶けるよ」

「うん」

私の隣であぐらをかくと、唯月は袋から出した棒付きアイスを無言でかじる。
唯月の桃のアイスから甘い香りがする。

「ひとくち、ちょうだい」

「うん」

差し出された桃のアイスを食べながら、唯月の顔を見上げる。
唯月はなんだか心ここにあらず、って感じの顔をしている。

「ねぇ、ゆづどうしたの?なんか変」

さっきから唯月がなんだかぼーっとしてる。
ぼーっとしてるっていうより、むしろ考え事してるっていう感じかな。
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