強引社長の不器用な溺愛



「いーから、おまえに任せたって言ってんだろ」


オフィスに響く声は社長のもので、声をかけられた植木くんは小さく縮み上がった。

入社1年目の彼が気弱な草食系男子であるという点を差し引いても、社長の声が大きすぎ、迫力があり過ぎるのだ。
現に私は社長の方向の左耳をふさいだ。

八束東弥(やつかはるや)……この会社の社長。

いっつもこうなんだけど、今日もマジでうるさい。


「あの……先方からの指摘は、ロゴのグリーンをもっと鮮やかにというもので……。ただ、僕のイメージから言うとあまりけばけばしいのは、この商品のテーマからぶれるのではと……」


「だーかーらー!おまえの考えで行けって言ってんだよ。シャンプーの広告だぞ。置くのはモード系のサロンだぞ。答え出てんだろ?」


社長の大声に植木くんが一層小さくなる。
あー、うるさい。やりとりが進まん。
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