強引社長の不器用な溺愛



俺の視線の先には、間も無く帰る女子社員が三人。
ウェブデザインの九重沙都子さん、会計の土屋衿奈、そして総務の篠井絹だ。

この3人、今日は女子会だそうで(あくまで小耳に挟んだだけで詳細は不明である)楽しそうに会話しながら仕事のラストスパートに入っている。
25人の社員のうち女子は8人。彼女たちは比較的仲がいいようだ。

特にこの3人は結構一緒にいるのを見かける。
普段はお子さんのお迎えで、17時にはオフィスを飛び出していく沙都子さんが参加というのが珍しいなと思う。


「清子ちゃんのお迎えは誰が行ってるんですか?」


土屋が言い、沙都子さんが首を振る。


「知り合いがね。どうしても行きたいって言うから」


「あ、わかった!この前会社にお迎えに来てたイケメンの彼氏さんでしょー!!どこの俳優だよって感じの、キレーな目のヒト!」


土屋がオフィスだと言うのにはしゃいだ声をあげる。
いーけど、そのへんゆるいし。
それに、沙都子さんほど美人で艶っぽいとシングルマザーでも興味津々の男は社内に何人もいる。


「あの人は彼氏じゃないの。そういう衿奈さんもカッコいい男の子と歩いてたじゃない」


「でへへ。見られましたか。でも、彼はー、なんていうかまだそういう感じじゃなくてぇー。やっと友達の距離っていうかー。知り合ったのは飲み会なんですけど」
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