自殺列車
赤髪の女の子の意見に賛同する人はいなかったけれど、みんなそれぞれにドアを離れて行った。


もう無駄だとわかったのだろう。


あちこちからため息やうめき声が漏れる。


あたしは元々自分が座っていた場所に戻り、肩を落とした。


後は車掌さんにすべてを任せるしかないけれど……あたしは真っ暗な車両をチラリと見た。


その状態だと、前の車両の方がひどい状況かもしれない。


助けが来ると信じたいけれど、その望みは薄いかもしれない。


「とにかく、自己紹介でもしないか?」


車内の重たい空気を消すようにそう言ったのは、栗色の髪の男の子だった。


男の子は大げさなくらい明るい声を出し、笑顔でいる。


あたしはその少年のような笑顔に、思わず微笑んでいた。


「そうしよう」


そして、すぐに賛同する。


他のメンバーも別に反対はしないようで、なんとなく彼の中心に集まる形になった。


「じゃぁ、言いだしっぺの俺からな。名前は植田旺太(ウエダ オウタ)17歳、松木高校の2年生だ。旺太って呼んでくれればいいから」


植田旺太君か……。


リーダーシップのありそうな人だな。


そう思っていると、旺太と視線が合った。


「次は、君」


「あ、あたし!?」
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