自殺列車
俺についてこいと言った車掌は、体の向きを変えるとスーッと滑るように歩き出した。


こいつ、本当に人間なのか?


それさえ疑わしく感じられる。


目は真っ白で見えていないようなのに、何の迷いもなく車内を進んでいく。


そして、車両の継ぎ目までやって来た。


「先に行け」


そう言われ、俺は立ち止まった。


前の車両は真っ暗な闇に包まれていて何も見えない。


闇の中に入って行き、そして死んだ面々を思い出すと恐怖で足がすくんだ。


「この先に行けば何かがわかるんだろ?」


そう聞くと、車掌は頷く。


それなら、覚悟を決めていくしかない。


俺は深呼吸を1つして、闇の中へと足を踏み入れたのだった。
< 152 / 222 >

この作品をシェア

pagetop