自殺列車
「心配するな、ちゃんと手加減はしてやるから」


そう言いながら、朋樹はパキパキと指を鳴らす。


手加減をすると言われても、怖すぎる。


優志はオロオロとあたしたちに救いの視線を求めている。


「それなら俺が相手になろう」


そう言ったのは、やっぱり旺太だった。


旺太は特におびえた様子もなく、腕まくりをした。


そんな旺太にあたしは目を見開く。


旺太は優志よりも筋肉がありそうだけれど、それでも朋樹に比べれば一般男性並みだ。


それでも腕相撲をする気満々な旺太に対し、朋樹は首を振った。


「いや、お前はいい」


「は? なんでだよ」


旺太はキョトンとして聞き返す。


「この弱そうなヤツで勝てるかどうか、試したい」


「そ、そんなの勝てるに決まってるじゃない!」


思わず、あたしはそう言っていた。


優志があたしの言葉に少しさみしそうな顔を浮かべる。
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