自殺列車
顔を真っ赤にして怒る朋樹を、優志が止めた。


「俺、君をどこかで見たことがあると思ってたんだ。去年開催されたアームレスリングの大会をテレビで見ていたよ」


優志の言葉に朋樹の怒りが静まって行くのを感じる。


「朋樹は嘘はついていない。なのに決着はつかなかった。俺や澪が体に異変を感じているのと何か関係があるかもしれない」


ようやく本題へと戻り、互いに体に感じる異変を意識し始める。


この空間で、通常には起こりえない何かが起こっている。


そう感じたのだった。
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