自殺列車
「なにかありそうか?」


言いだしっぺの朋樹は何もせず、聞いてくる。


「なにもない」


愛奈はそう言い、椅子を下りた。


「こっちにも、カメラみたいなものはなかったよ」


みんなの所へ戻ると、全員が難しい顔をして黙り込んでしまった。


「でも、こんな空間を作れる人が目に見える監視カメラを付けるとは思えないよね」


場の空気を変えようと思い、あたしはそう発言した。


「あたしも、そう思う。それに、こんな空間を作るなんてきっと数人じゃ不可能だから、大きな組織が関係しているかもしれない」


澪が真剣なまなざしでそう言った。


確かに、お金持ちの個人でできる反中はとっくに超えている。


組織ぐるみなら、あたしたちが実験に使われているという説も、少し現実味が帯びてくる。


なにを研究している組織なのか、それは全く見当もつかないけれど。


「もう少し、考えてみる必要がありそうだな」


旺太がそう言ったのだった。
< 39 / 222 >

この作品をシェア

pagetop