自殺列車
暗闇の謎
それからあたしたちは暗闇についてわかっている事を話しあっていた。


澪は自分から暗闇の中へ入って行き、そして逆側の窓へと落ちて来た。


引きずり込まれたような感じではなかった。


優志の場合は窓に手を伸ばした瞬間、その中へと引き込まれていった。


「闇の中は一体どうなってるんだろうな」


旺太が呟き、閉まっている窓に手を触れた。


窓は閉まっているから問題ないはずだけれど、それを見ているだけで心臓はドキドキした。


「優志を引き込んだのはなんだったんだろう? やっぱり、闇の中に何かが潜んでいるのかな」


あたしはそう言う。


「でも、優志の体が浮いていたのが気になるな」


旺太が答える。


確かに、優志の体は外へ引き込まれる前に浮いていた。


まるでそこだけ重力がなくなってしまったかのように。


「外へ出た人が戻ってこないんだから、外の事はわからないことだらけよ」


愛奈が吐き捨てるようにそう言った。


きっと、優志ももう戻ってはこないだろう。


みんな、なんとなくそれが理解できていた。


もし、澪のように逆側の窓に落ちてきたらどうしようかと、さっきから恐怖が募ってばかりだ。
< 68 / 222 >

この作品をシェア

pagetop