我那覇くんの恋と青春物語~横西めぐみ編~
少しでも早く横西さんに追いつきたい。



いや、追いつけなくとも、行き先は分かっている。



とにかく、今は少しでも速く走らなければいけない。



泣いていた横西さん、エアと西園寺さんの様子がそう思わせて、走る速さがまた増す。


「いた・・・」


彼女は昨日と同じように芝生に座り、夕日に輝く川面を見つめていた。


「ごめんね、心配しただろ」


「・・・」


同じように横に座り、涙目の彼女から少しだけ視線を逸らした。


「何も聞かないんだね」


「うん・・・人には言いづらいことってあるからさ」


「いつも、そうだね」


その言葉に「ごめん」と口にしそうになったが、今はそれではいけないと思った。


「凄く優しいよ。泣いている姿が見えないように、視線も外してくれているし・・・本当に優しいよ。でも、ボクだけじゃない・・・誰でも優しくって、しかも鈍感なのって、凄く残酷だよ」


「それって・・・」


そこまで一気に話したようで、彼女は一呼吸置くように深呼吸した。

涙を手で拭い、川面を見つめる表情は、どこかこちらから話しかけてはいけない雰囲気に思えた。

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