1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…はぁ、ほんと、心臓に悪い…」

 ため息をこぼしたあきくんを恐る恐る見上げると、掴んでいない方の手で、目元を覆い隠して上を向いていました。

「あきくん?」

「…ありがとな。でも、今はこんだけだ」

 掴んだ手が引き寄せられて、抱きしめられる。
 上を向くと、あきくんが少し顔を赤くさせて、私の額に、キスをした。

 一瞬何をされたのか分からなくて、分かった時には今までで1番顔が熱くなりました。

「誰にもこんな隙、見せんな」

 耳元でつぶかれた言葉に、何も考えられなくなって、ただ勝手にうなづいていました。

 満足げに笑ったあきくんは、戻るぞって、手を差し出してくれて、その手に捕まれば簡単に立ち上がれた。

 手をつないだままテントに戻る。少しだけでも、傍にいられるように。
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