1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「あ、おはようございます。清牙さん」

「秋空くんか。毎日ありがとな」

 毎日欠かさずよもを送り迎えしてくれる友達の神野秋空くん。

 そのうち、よもの彼氏としてあいさつに来てくれるのを実は桃とこっそり楽しみにしている。

 秋空くんは、首を横に振って、当たり前のことしてるだけだからとさらりと言って見せた。

 俺が高校生の時、こんなセリフが相手の親に言える勇気なんてなかっただろうなと少し苦笑した。

「っはぁ。はぁ…あ、あきくんすみません…」

「蓬、持久走でもしたのか?」

「みあちゃんがくっついて離れなかったんですよ!」

「ご苦労さん。遅刻するぞ」

「えぇ、また走るんですかぁ…」

「よも、秋空くん、気を付けて」

「お父さんも気を付けてね。いってきます」

 にこっと笑ってから、蓬は秋空くんに手を引かれて走って行った。

 2人を見送って、自転車のペダルに足をかける。
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