1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 翌日、痣は青くなっていて、思わず2人で顔をしかめる羽目になった。

 痛む体を強制的に引きずって、学校に向かう。

「そういえばさ、雷斗になんか言われたか」

「え?…特には何にも」

「は?」

 おい、嘘だろ…。何のために昨日見栄張って1人で帰ったと…。

 蓬は首をかしげるばかりで、何にもなかったことがはっきりとする。

 あいつ…人が気を使ってやったというのに…!

 勝手に殺気立ってると、背後から足音が聞こえてくる。

「はよ」

「あ、雷斗くん」

 振り返った蓬が思わず黙る。

 振り返れば、当然のように顔にでかい湿布を張った雷斗がいた。

 蓬は俺らを見比べて、何とも言えない渋い顔をする。まぁ、そうなるわな…。

 それよりも、言わなきゃいけないことがある!雷斗の腕を掴んで蓬からわざと少し離れて声を潜めた。
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