1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「まぁ、よももは関係ないだろうけど、見かけたら連絡くれ」

「捕まえるんですか?」

「あぁ、その組と近々…っげふん。まぁ、そういうわけだから頼むわ」

 若さん、わざとらしい咳払いですね…。お母さんから殺気が漏れてるので、慌てて口をつぐんだようですね。

 お母さん、怖いです…。

 そそくさと立ち去っていく若さんとお供さん。お母さんと見送ります。

「よも、そういえば1人?」

「え?あ…うん。あきくんバイトだから途中で」

「…よも、なんかあった?」

 お母さん鋭い…。あははと苦笑いしてみるも、話をそらしてくれるような雰囲気ではないです…。

「あきくんとちょっとケンカしちゃった」

「そう、やっとケンカできるようになったか」

「え?」

「ケンカできるくらい、お互いに遠慮しなくなった。そう考えばいいじゃない」

 お母さんはあっさりとそういって、頭を撫でてくれる。

 重かった体が軽くなる。

 そうだ。ずっとケンカしたままじゃない。仲直りすればいいんだ。謝って、許してなんて言えないけど、これからは嬉しいことはすぐに報告するようにしましょう。

 …ううん、嬉しいことも、悲しいことも全部です。
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