その傷に契約を、その傷に唇を。
Prologue…
わたしは泣き虫だった。


トロかったし、よく何もないとこで転んではワーワーと泣いていた。


そんなとき、必ずわたしの前に差し出されるふたつの手。


「おい!わか!お前はほんとにドジだな!」


怒りながらもわたしをしっかりと支えてくれる力強い手。


「わかちゃん…だいじょうぶ?」


心配そうな顔をしながら小さな力でわたしを優しく支えてくれる温かな手。


わたしはふたりが大好きだった。


左隣の家の嵐くんに


右隣の家の蓮くん。


ふたりはわたしの幼なじみ。
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