その傷に契約を、その傷に唇を。
蓮の綺麗で大きな手がわたしの太ももに触れてヒヤッとする。


そのとき、


「和花ー!ごはんできたから蓮くん連れて降りてらっしゃい!」


階段下からお母さんの声が聞こえた。


ゆっくりとわたしから離れ冷めた笑い顔を見せる蓮。


「冗談だよ。お前、ただでさえ友達少ないからな。友達と再会できてよかったな」


「…自分だってあーちゃんの友達なのに」


そう言うと蓮はギロリとわたしを睨んだ。


「俺は嵐を友達だと思ったことは一度もない」


蓮の表情が陰った。


「教えてあげるよ」


背の高い蓮はわたしを見下ろした。


「俺はね、昔っから嵐のこと大っ嫌いだったんだよ。すごぉく、ね」


面白そうに笑いを浮かべて蓮は階段を降りていった。
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