何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
気付いた時には
「つ……疲れた……」



ゼエゼエと肩で息をしながら立ち止まっていれば周りから不審な目で見られる。


まぁ全力ダッシュした時から不審者みたいなものだけど。
心で苦笑いを浮かべながら息を整える。


やっと落ち着いた私はゆっくりと歩き出す。
もう少しで何でも屋へ着くし歩いて行こう。


久しぶりに走ったら疲れたよ……。
年を感じていれば、聞き覚えのある声が耳に届いた。



「うるせぇ!放っとけよ!」



怒鳴り声だったけど、すぐに分かった。
私が会いたかった人の声だって……。



「遥斗……」



小さな呟きは彼に届く事はなかった。
もう1度、彼の名前を呼ぼうとしたけどそれは叶わなかった。



人混みに交じりながらも見えてしまったから。



私が会いたかった遥斗と、その隣にいる背が高くて綺麗な女性の姿を……。



「……」



何も言葉が出ない。
開きかけた口が小刻みに震えだした。
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