何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
ここは拓哉さんの部屋で……。


拓哉さんが仕事に行っている間以外は私はこうして彼に抱かれる生活を送っていた。
会社にも行かせて貰えず、ずっとこの部屋で彼が帰ってくるのを待っている事しか出来ずに……。


逃げようとしても数えきれない程のSPたちに見張られている為、部屋から出ることすら出来ない。
私にはもう……“自由”なんてないんだ。


頭が狂うほど愛されて……。
ただ時が過ぎて命が果てるのを待つだけ。
そんな未来しか思い浮かばない。



「許してくださいっ……もう嫌っ……」

「……」

「あっ……んっ!!」



鳴き声と厭らしい水音だけが部屋へと響き渡っている。
聞きたくなくて耳を押さえても聞こえてくるその音。



自分が自分で無くなる様な感覚に陥りながら私はベッドのシーツを掴む。



快感から逃れようと必死に力を入れるが拓哉さんはそんな私を蔑む様に行為を続ける。




「愛している……梓沙」



無表情からは想像できないほど優しい声に胸がキリキリと音を立てる。


私が貴方を愛し続けてさえいれば……。
こんな事にはならなかったのに……。


拓哉さんも私も
傷つく事はなかったのに……。


ごめん……ごめんなさいっ……。


一筋の雫が私の頬を流れた。
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