何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「テメェな……遅いんだよ」

「痛ッ!!」



何でも屋へと足を踏み入れた瞬間


待ち構えていた様に私のオデコを叩く遥斗。
痛むオデコを擦りながら遥斗を睨む。



「叩かなくてもいいじゃない!!」

「叩かれる事をしたんだろーが」



遥斗は怒りながらも私を中へと誘導してくれる。


いつの間にか私から敬語は外れ普通に話す様になっていた。
遥斗の前では何故か素の自分でいられたから。


って言うか遥斗に敬語なんて必要ない。
年上だろうけど、遥斗に敬意なんて払えないもの。


そう思いながらも遥斗の顔を見ると安心する自分がいた。
お義兄さんの事で不安を感じていたが彼に会った瞬間、そんな事どうでも良く感じた。



「不思議だな……」

「あ?
何が不思議なんだよ?」

「な……何でもないよ!!
それより何の用?」



慌てて話を変えれば遥斗は『あぁ』とデスクへと向かって行った。


ソファーに座りながら遥斗の姿を盗み見る。


遥斗って外見だけは良いよね。
何をしていても絵になるし……。


最初こそ性格もいいと思っていたけど……。
半ば脅されている私にとってそのイメージは簡単に吹き飛んで行った。
< 79 / 430 >

この作品をシェア

pagetop