百人一首いまむかし 〜二の巻〜


「ゆりあ様。お誕生日おめでとうございます。」


次々と、どこかの社長さんやら跡継ぎさんやらがお祝いの品をもってやってくる。


「ありがとうございます。」


顔に笑顔をはりつけてお礼を言う。

それが私の役目。


「ゆりあ様。お誕生日おめでとうございます。」


彼のお父さま。


ということは彼も…


「ゆりあ?どうかしたのか?」


「え?い、いえ。なんでもありません。」


父の声ではっとする。

彼を探し、ついつい役目を忘れてしまっていた。


「どうした?疲れてでもいるのか?」

「そうかもしれません。
少し部屋で休んでもかまいませんか?」

「あぁ、それがいい。そうしなさい。」


やっと一人になれる…

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