男の秘密
続きを聞こうとした時、忍が戻って来た。

「重さん、優に変な事話してない?」

「俺は優が寂しくない様に相手しててん。変な話なんて、なぁ」

慌てた忍に大げさな身振りで返答していたが、急に優に話をふる。

「はい。変な話はしてませんよ」

「おお!、優は関西弁喋るんか?」

「!?ちゃいます。おばあちゃんが・・・やだ、標準語にならへん」

イントネーションが変わった事を指摘されて、標準語に戻そうとするが、テンパってしまって戻らない。

関西弁を話し出す優を呆然と見ていた忍だが、慌てふためいている優を見て、声を出して笑い出した。

ひとしきり笑ってやっと、笑いが止まった時には、優は少し機嫌が悪くなっていた。

「悪い。あんまりにも可愛い反応だったから」

目に涙を浮かべて笑い出すのを堪えている姿を見て、優は落ち込んでしまった。

そのお陰で、冷静に話す事が出来るようになったのだが・・・。

「私の祖母が関西の人だとお話しましたよね。
両親が小学校の時他界してからは祖母と暮らしていたんです。
祖母は関西弁しか話さなくて、私は直ぐに関西弁を話すようになったんです。
でも、同級生にからかわれてしまって・・・。」

「子供は自分と違うもんを攻撃するさかいな」

からかわれたと言った優の言葉の更に奥を読み取って、重利が呟いた。

「でも、祖母が残してくれたものなので、私は大好きなんです」

「ここに来た時は、関西弁つこたらええ」

「はい!」

忍は、嬉しそうに返事をする優を眩しそうに見ていた。

その後、料理の話や、関西弁の話などで盛り上がって、気が付けば9時になる所だった。

「そろそろ帰ろうか」

忍の言葉でお開きになり、家まで送って貰った。
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