男の秘密
人生初のミッション
忍と別れた翌日は、何だかふわふわしていた。

平成を装う為に掃除や選択をしてみたが、何も記憶に残らないまま終わった。



週明け月曜日

１日置くとやっと何時も通りの日常が戻って来た。

それでも今朝は何時もより早く目が覚めてしまい、１時間も前に出社してしまった。

「珍しいじゃない。優がこんな早く来るなんて」

同期で専務の専属秘書をしている羽奈が声をかけて来た。

羽奈は何時もこの時間帯に出社して、専務が来るまでに、スケジュールの変更や、メールチェックを済ませている。

「おはよう。羽奈。早く目が覚めちゃって」

「ふーん。　じゃぁ今日のお昼は一緒に社食でご飯食べながら話をしましょうね」

肩より長い黒髪を後ろで一つに束ねて、お団子にして、前髪は目に掛からないように無地のピンで纏め、太い黒渕の眼鏡をかけた羽奈は仕事モードだ。

その黒渕眼鏡の中の瞳がキラリと光ったのは、優の気のせいではないだろう。

『何かバレてる気がする』

何時もは時間が合わなくて、中々一緒に昼食が取れない羽奈からの昼食のお誘い。
付き合いが長いせいか少しの変化にも気付いてしまうようだ。

「う、うん。　分かった。　後でね」

少し引きつった笑顔をで返事をすると、そそくさとその場を去る。

「何か、面白そうな事が起こりそうな感じね」

優の後ろ姿に、不適な笑みを浮かべ、羽奈は呟いた。
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