金髪子犬がじれったい!
土曜日
12:50
1時から、例の子供向けイベントのバイトの設営作業が始まる。
広場には既に50人近くのスタッフらしい人が来ていた。
悲しいことに、泪と梨々香はここにはこない。
泪は長期入院(という名の嘘)、梨々香は部活が想像以上にハードで土日やゴールデンウィークを開けられなくなった、ということで辞退してしまった。
「おはよ~。間に合ったー!」
美香を見てほっとする。
せっかくのバイト、やっぱりちゃんとやるべきだ!
「おはよー!!」
嬉しくてかけよる。
私はどうせ道に迷うに違いないと思って早めに出てきたら、時間が余ってしまっていたのだ。
「おはよ!あとね、別れてきた!」
「おぉ。そっか!」
…………ん?
よく考えないで返事をしたけれど、彼女の楽しそうな顔をまじまじと見る。
「だって。もう安定期だって。」
「うん。なんか好きじゃないのに、別れる理由ないだけでつきあうのってだめかなーってーー。
むこうも、別れよって言ったら、そうだねーってーー。」
驚きすぎて言葉も出なかったけど、美香もバイトで出会いの期待をしていたみたいで、俄然楽しくなってきた。