金髪子犬がじれったい!
「寧々~。広野君かっこいいじゃん~。」
帰り道、賞品のチロルチョコを食べながら、泪がニヤニヤしてきた。
私が広野君に投げさせようと不正しかけたのは、クラスのほとんどの人が見てたみたい。
子犬みたいにころころした普段のイメージとは違った、
頼れるお兄ちゃん風の広野君に、女子全員が注目したんだとか。
「広野君あんなに優しい目するんだね~。」
泪が、ギャップ萌えした?としつこく聞いてくる。
みんなが注目した、というフレーズで、何かがすぅ、とひいていくのを感じた。
泪は、彼氏がみんなも羨むイケメンっていうのが嬉しくて、誇らしいみたいだった。
先輩の嫉妬の目線が気持ち良さそう…とまで言ったら大袈裟だけど。
あたしは落ち着かないな。
「抹茶のチロルチョコおいしいね。」
泪の手元から拝借したチロルチョコを頬張る。
最近のチロルチョコはちょっぴりリッチな味がする。
「ん?ほんと?!それは泪のっ!」
「ちぇ!それは私が選んだんだよー!」