一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
優の容姿は社内で抜きん出ている。

180センチ以上の身長に長い手足。

スーツの上からでも分かる筋肉質な身体にツーブロックショートの髪型はスポーツマンのようで爽やか。

去年、海外から帰って来たばかりの優と付き合いたいから協力して欲しいと推進課に足を運んでくる女性は多い。

おそらく今日の呼び出しもその手の話と思っていたのだろう。


「耀のことはいいから、俺に良い子紹介してよ」


と言ってきた。


「優さんには何度か紹介しているじゃないですか」


次期副社長の座を狙っている優は社内恋愛で結婚することを希望している。

ただ、いくら私が紹介してもタイプじゃない、の一点張りで首を縦に振らないのだ。


「もし良ければ来週末に行われるイベントに参加されませんか?」


私と優のやり取りを見ていた課長がひとつ提案をした。

それを受け、優は課長の方に顔を向け、質問で返した。


「イベントってなんですか?」


イベントはその季節に応じたものを用意している。

梅雨の時期手前は蛍鑑賞、夏は花火、秋は芸術鑑賞や山登り、冬は社員旅行を兼ねた温泉旅行などなど。


「来月は5月なのでバーベキューです。誰が来るかは当日のお楽しみですが、その中から意中のお相手を探すのも良いかもしれませんよ」

「なるほど。あ、でもそれ、耀にも参加させるつもりですか?」


そのつもりだと課長が首を縦に振り即答した。

それに対し、優は少しだけ考えるそぶりを見せたあと、課長に笑顔を向けた。
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