恋より先に愛を知る



☆


薬は毎日飲んでる。


通院だってしてるし、
勉強も家事も全部、充実させてるはずなのに。



私の身体には異変が起き始めていた。






あの日の事件を思い出す。


夢には必ず、
あの時の情景が浮かびあがって出てくる。



あの男の人が、私を追いかける。




びたっと隣にくっついて、
私の身体をべたべた触るの。




『黙ってたら何もしないから』




そんな言葉は嘘。




『やめてって、怖いって言えばやめるのに』




そんな言葉も嘘。




ずっとずっと、私から離れない。




逃げるように地元に帰ってきたはずなのに、
こんなところまで追いかけてくる。



私の後ろを、ずっと離れてくれない。



何をするのにも、後ろからついてくる。




私を叩くのよ。



助けてって言うと、
口を塞いで、それから叩くのよ。






やめて、叩かないで。




何もしないって言ったじゃない。






話に付き合ってくれれば、
すぐに帰してくれるって言ったじゃない。





怖いって言えば、
やめてくれるって言ったじゃない。













「助けて・・・っ!!」









その日の夜も、自分の叫び声で目が覚めた。




時計を見ると、0時を回った頃だった。



全身の震えが止まらなくて、
吐き気とめまいが私を襲う。



嫌な汗でびっしょりになって、
胸の動悸が止まらない。



そんな時、
私が助けを求めたのは・・・彼だった。




< 75 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop