鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
1年生の初め頃はわたしも態度や姿で、長岡君ってこわいな苦手だなって思って近づかなかったけれど、優しい面を沢山見るうちに、素敵な人だ、と思えるようになってた。
今は普通にお互い話しかけ合う仲だ。

「お、俺がカップルコンテストとかっ……」

突然名前を挙げられた長岡君は、さっきのわたしみたいに狼狽えていた。
それはそうだろう、驚くってものだ。
でも、長岡君とだったら……。
なんて思うわたし。

「良いんじゃない?
長岡君、一緒に出ようよ。
わたし、頑張るから……。ダメ?」

あれ?
どうしたんだろう、わたしの口。
普段はどっちかって言うと傍観者を決め込んで、話し合いも授業中も意見なんてしないのに、今日は珍しく口が動いている。
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