鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集

ゲームしてる場合じゃないかも(先輩)

春の陽気とこれから入手する予定の物にウキウキしながら、俺はのんびり歩いていた。

階段を降りればすぐの、俺が今いる道より低い場所の、桜並木のある河川敷を右横に見やる。
さらさらと、桜の花びらが水面に舞う。
綺麗だな、日本の美って感じ。
俺は珍しくそんなことを思っていた。

「あ……」

眺めていると、桜並木を歩く美少女を発見した。
しかも知ってる子。
つい、声をかけた。

「美空ちゃんっ!」

彼女は俺の声に立ち止まり、振り向いた。

「あ、こんにちは!
今日はお仕事お休みですか?」

手を振る彼女に合図を返しながら、桜も霞むな、なんて思ってしまった。
制服姿が眩しい彼女は笑顔も眩しい。
なんて感じの良い美少女なんだ……!
瀬田のやつ、本当に幸せ者だなちっくしょうっ!
< 175 / 229 >

この作品をシェア

pagetop